上場計画を発表する日本郵政の西室泰三社長=26日午後、東京都千代田区【拡大】
日本郵政が金融子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険と同時上場に踏み切るのは「早く上場しないと(金融子会社が)新しい事業を始められない」と就任直後から話していた西室泰三社長の強い意志があったからだ。当初は、前例のない“巨大・親子同時上場”への慎重論もあり、一時は「(日本郵政上場と)間を置かないで上場したい」とトーンダウンしたが、主幹事証券会社と相談した上で「やれる」と踏んで、上場計画に盛り込んだ。
しかし、3社同時上場という離れ業をもってしても、日本郵政上場という大型新規株式公開(IPO)のリスクは拭いきれない。「完全売却」こそ明示しないものの、収益の8割を稼ぐ金融2社の株式を過半数まで売却し、赤字体質の日本郵便だけを100%子会社として残す日本郵政は市場の厳しい評価にさらされることになる。
そのため日本郵政は、自社の上場と同時に保有するゆうちょ銀とかんぽ生命の株式の売却収入で政府保有の日本郵政株の一部を買い取る手はず。株価の下落を防ぐとともに政府の保有比率を下げることで、安定配当の維持をアピール。金融2社への投資家の集中を防ぎたい考えだ。