先日、訪問調査した都内の企業(以下A社)の社長も、当初は障害者雇用に積極的ではなかった。業種が飲食業ということもあって、障害者にとっては刃物や火などを扱う危険な調理場があることから、雇用が難しい現場だという思い込みがあったのだ。そんな中でたまたま訪れた、ある接客業の窓口に行ったところ、明らかに障害者と分かる社員が接客をしている姿を目の当たりにして感動し、障害者雇用の可能性に興味を持ちはじめた。
さらに、ある有名企業の特例子会社を見学した際に、運命的な再会を果たした。A社の店に以前在籍していた女性が、そこで働いていたのである。
女性は障害者だったが、A社にいたときには、障害を表に出していなかったため、気づくことができなかった。
障害や苦労を認識してあげられなかったことを反省するとともに、そこで丁寧に郵便のスタンプを押す作業をしている女性の姿をみて障害者雇用に対する偏見がなくなり、A社の社長は方針を変えて、現在は積極的に障害者雇用に取り組んでいる。
障害者を雇用したことで社長は「社内にお互いを気遣う優しさがあふれ、素晴らしい効果が出ている」ことに気づかされたと話す。障害者を敬遠し続けていては、こうした“気づき”は決して得られない。
◇
【会社概要】アタックスグループ
顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。