決算についての記者会見を終え、記者に囲まれるトヨタ自動車の佐々木卓夫常務役員=4日午後、東京都文京区【拡大】
一方、海外に販路を持たない中小部品メーカーは、原材料価格の高騰で業績は厳しい状況だ。ある部品メーカーは、「円安はむしろマイナス面のほうが強い。ベアなんて考えられない」(幹部)と打ち明ける。
安倍晋三首相は政労使会議で「生産性向上や収益拡大を賃金上昇につなげることが重要」と産業界に協力を求めた。
春闘相場をリードするトヨタは、値下げ要求見送りの効果を2次、3次の系列取引先に波及させようとしている。
競争力どう維持
ただ、値下げ要求などコスト削減策は、トヨタの競争力の源でもある。厳しいグローバル競争の中で、中長期にわたる継続的な値下げ見送りは困難だ。トヨタ社内では「トヨタ伝統の徹底した倹約意識が薄れてはいないか」と、好業績の副作用を危ぶむ声も出ている。
世界販売台数見通しを1%減の900万台に引き下げるなど、アジアや国内での販売が下振れする中で、トヨタは想定為替レートを1ドル=109円に見直した。だが今後、為替相場が円高に反転すれば、収益構造の悪化につながる恐れもある。
利益還元の“大盤振る舞い”で稼ぐ力を損なっては本末転倒だ。持続的成長と社会的責任のはざまで、トヨタの悩みは深い。