会議室ではなく、作業デスクと丸テーブルを隣接するなど、気軽に会話ができる工夫でコミュニケーションは円滑になる【拡大】
さらに、メンバーが他部門とちょっとした打ち合わせを行っていると、仕事をしながらそれとなく(まさに小耳にはさんで)起きていることがわかり、もし重要だと思ったときは加わって、「ちょっと入っていい?」と言いながら、一緒に話を聞くことができた。
このように、小さなテーブルを近くに置くだけで、他部門の人が相談していること、もしくは担当者が相談していることなど、自然に会話が耳に入ってきて、役に立ったことが多かった。その1年後、人員が増加したこともあり、結局テーブルは撤去され、会議は会議室で、となってしまったのであるが、このように、もしスペースが許すのであれば、ちょっとした小道具を活用することで、コミュニケーションが向上するきっかけとなる。
◆先輩の会話をわざと聞かせる
このようなことは他の会社でもあるのではと思っていたら、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による『宇宙に挑むJAXAの仕事術』の中で、2つ述べている。
1つは管理職机の横に直径1メートルぐらいの丸テーブルを置き、そこに3~4人が集まって雑談や小さなミーティングを頻繁に行っているとのこと。会議の事前調整や情報のバックグラウンドの共有など、どうしても事前に調整しておかなければならない場として活用しているようだ。
また、今川吉郎氏(「きぼう」のプロジェクトマネージャー)がプロジェクトを離れるにあたり、チームの管理職や若手職員にいくつかの言葉を家訓として残したようだ。その中に、「先輩同士の会話をわざと聞かせて、発想のヒントや情報収集の原点を教える」というものがある。まさに自然に会話が耳に入る関係であろうか。
JAXAは技術的に最先端の組織ではあるが、これでもかと言えるくらい、人と人とのコミュニケーションに重点を置いたマネジメントをしている。