高浜原発3号炉・4号炉の審査書案に対する意見募集の結果などについて話し合う原子力規制委の田中俊一委員長(左端)ら=12日午前、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】
原子力規制委員会は12日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の事実上の合格証となる「審査書」を正式決定した。同日午後にも関電に施設の変更などを認める許可証を交付する。新規制基準の適合を認める原発は九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に次いで2カ所目となる。
規制委は今後、機器などの設計内容を確認する「工事計画」と、運転管理体制を確認する「保安規定変更」の認可審査に移る。地元の同意を得る必要があり、再稼働は早くても今夏以降になる見通しだ。
規制委は昨年12月に審査書案を公表。30日間の意見公募(パブリックコメント)では3615件が寄せられたが、審査書案の結論部分に大きな変更を加えるものはなかった。
審査書では、地震や津波への対策が基準を満たしていることを記載し、重大事故に対する機器や設備の性能なども確認。放水口に海抜8メートルの防潮堤を設置するなどの追加対策が認められ、規制委は高浜原発が新規制基準に「適合しているものと認められる」と判断した。
関電は平成25年7月の新基準施行当日に審査を申請。審査の過程で規制委の指摘を受け、基準地震動(想定される最大の揺れ)を当初の550ガルから700ガルに見直しを迫られ、基準津波(想定される津波の高さ)も2.6メートルから6v2メートルへと引き上げを余儀なくされた。
その後も審査会合での指摘事項を反映した補正書に不備が見つかるなど、規制委への提出が遅れたことから審査書決定も大幅にずれ込んだ。
関電は今月2日に工事計画の補正書を規制委に提出したが、保安規定の補正書の提出時期については「未定」としている。