産経新聞のインタビューに応じる電機連合の有野正治中央執行委員長=20日、東京都港区の電機連合(那須慎一撮影)【拡大】
--今春闘の意味とは
「『デフレ脱却と経済の好循環を実現する』、『物価上昇局面で実質生活を守る』という2つの観点から、極めて重要だ。賃金による経済の底上げは(6年ぶりに大手がベアを実施した昨年に続く)継続の2年目なので、今回ダメならまったく意味がなくなる」
--経営側の姿勢は変わってきたか
「経済を成長路線に戻すことが重要だということは理解しているはずだが、後々コストになる月例賃金の引き上げには慎重だ。物価が上がっているのに賃金が上がらないと、消費が下がってくるというのは当然の話で、交渉ではそういう議論もしたい」
--昨年に続き、政府の関与が強い
「経済情勢に大きく関わる場合に、非常事態的に政府がある程度、(賃金改善を)支援するのは決して悪いことではない。ただ、これから先は労使交渉に任せて、政府は社会保障や税制など、国民の不安解消に効果的な政策を進めてほしい」
--各社の業績に差がある中、統一交渉の意義は
「皆が何とかクリアできる(上限の)水準を探し出す難しさはあるが、それが社会的な役割だ。一つの水準を決めることで、広く波及させる効果がある」
--今年の交渉の行方は
「昨年は勢いで進んだ面もあったが、今回は厳しい交渉になる。ただ、『ベアをやらない』という選択肢にはならないと思う」