経営再建中のシャープが主力行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対し資本支援要請を検討していることが3日、分かった。借入金を株式に振り替えてもらう「債務の株式化」の実施などで1500億円規模の資本増強を目指す。太陽電池といった不採算事業で生産設備などの減損処理に踏み切るが、継続中の事業構造改革を前倒しするなどした場合、2015年3月期連結決算で最終赤字額が予想の300億円からさらに膨らみ、1000億円規模にも上る可能性がある。
シャープの有利子負債は14年末で約1兆円。自己資本比率は10.8%で、製造業で健全とされる20%を大きく下回る。13年秋には1400億円規模の増資を行った。
シャープはこれまでに欧州での太陽電池やテレビ、白物家電の自社生産を中止し、米国での太陽光発電事業から撤退するなど海外での構造改革を進めてきた。一方、国内では生産拠点の不採算事業の整理が進んでおらず、センサーを手掛ける福山工場(広島県福山市)など国内工場の縮小・閉鎖を検討。今期中に整理する場合、減損処理などで最終赤字額が2月に予想を修正した300億円からさらに膨らむ可能性があるため、財務基盤の強化が必要と判断したとみられる。