トヨタ自動車が2015年春闘で、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について月4000円を軸に提示額を調整していることが5日分かった。春闘相場に強い影響力を持つトヨタが昨年の妥結額(2700円)を大幅に上回るベアに踏み切ることで、賃上げが個人消費の回復につながる「経済の好循環」の実現を後押ししそうだ。
15年春闘でトヨタの労働組合は昨年の要求額の1.5倍に相当する6000円のベアを要求した。消費税増税後の物価上昇や政府の強い賃上げ要請を追い風に、「ベアの必要性は労使の共通認識」(幹部)として強気の交渉に出ている。
これに対し、経営側は景気回復による業績改善を背景に昨年以上のベアを実施する方針。ただ、労組の6000円という要求額に「そのまま答えるのは不可能」(上田達郎常務役員)と満額回答に難色を示している。
労組の強硬姿勢もあって、5000円台も視野に入れるものの、今後4000円前後で調整が進む見通し。定期昇給に相当する賃金制度維持分は7300円の満額を提示する可能性が高く、合わせて1万1000円以上の賃上げが行われる公算だ。年間一時金も6.8カ月分の満額で妥結するとみられる。