主要企業の回答をボードに書き込む金属労協の職員=18日午後、東京都中央区【拡大】
2015年春闘は18日、自動車や電機などの主要企業の集中回答日を迎えた。基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)が最大の焦点だが、月額3000円以上が目立ち、過去最高水準での妥結が相次いだ。主要企業のベアは2年連続で、デフレ脱却に向けた「経済の好循環」への貢献が期待される。高水準のベア妥結による賃上げの動きを中堅・中小企業に波及させられるかが今後の課題となる。
相場全体への影響力が大きいトヨタ自動車の回答はベア4000円で、前年実績の2700円を大きく上回り、過去最高だった。日産自動車はトヨタを上回る5000円、ホンダは3400円、富士重工業は3300円で決着した。日立製作所やパナソニック、東芝などの電機大手各社も、前年の2000円の1.5倍に相当する3000円と過去最高で足並みをそろえた。
年間一時金(賞与)も高水準の回答が相次いだ。トヨタが6.8カ月の要求に満額回答したほか、三菱電機が6.03カ月、ホンダが5.9カ月だった。
自動車や電機などの産業別労働組合でつくる「金属労協」の相原康伸議長(自動車総連会長)はこの日の会見で、「デフレ脱却と経済成長に向けて、昨年より歩幅の大きい2歩目を踏み出すことができた」と評価した。
前年に続き、経済の好循環実現を求める政府の意向を背景にした「官製春闘」の様相で進んだ。自動車、電機の大手各社は円安で輸出の採算が改善し業績が堅調に推移していることもあり、経営側が高水準のベアを容認する流れとなった。日立製作所の中畑英信執行役常務は「経済の好循環への貢献などを総合的に検討した」と話した。
小売りなど非製造業もベア実施に踏み切る企業が増えており今後は波及効果が焦点になる。菅義偉官房長官は18日の会見で「力強い賃上げの動きが、関係の業界、会社に広がることを期待したい」と述べた。