「ロールモデルは福沢諭吉」と話す藤井太一さん(右)【拡大】
一方で失敗談も伺う。「景気の良い時代に調子に乗って福岡を代表するような先進的ビルに高価な家賃を払い出店。その後、バブル崩壊により退店どころか、社員のリストラまでしなければいけないはめになったことは今でもつらい体験。『分不相応』という言葉を、常に頭のどこかに置いている」
現在、政治家、企業家にすさまじいほどの迫力を感じる人物がいないと感じている。
裏返すと、リーダー不在の混沌(こんとん)とした世の中になってしまったという危機感が強い。
ヒューマンリソース・マネジメント(HRM)という概念が国内に導入されて久しい。ヒューマンリソース、すなわち人的資源、人の可能性を信じて人材育成や組織開発を進める時代が到来したことに他ならない。すべての人が各自の持つ大きな可能性をフルに発揮して組織に貢献できるよう環境を整備する。
デリバラブル的発想にも着眼したい。デリバラブルとは「deliber(届ける)+able(できる)」の合成語。「何をお届けできるか」を表す。自分は何ができるかではなく、相手にどんな価値をお届けできるか。そういう発想の転換をさまざまな場面で体現している藤井氏はいつも熱い。
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【プロフィル】柴田明彦
しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。亥年、乙女座、AB型。慶大法卒。83年電通入社、新聞局業務推進部長などを歴任し、2006年退社。一般社団法人「NS人財創造機構」を設立し、大学講義や講演会、研修を行う。14年に設立した「多様性工房」で、広報・宣伝や販売コンサルティングも手がける。著書は「ビジネスで活かす電通鬼十則」(朝日新書)ほか。