今回の酒税関連法の改正案の国会提出について、国内酒類大手メーカーからは「安売り競争がなくなれば、採算を度外視したような卸価格や販売奨励金などがなくなり、収益性は改善する」(幹部)との歓迎の声もある。ただ、「安売り減が販売数量減につながる危険もある」(営業担当)と警戒する意見もある。
メーカーサイドでは、極端な安売りが起きないように業界の自主規制を作り、それに沿った運用をしているという。また、ビール類ではほとんどの商品が「オープン価格制をとっていて、価格の決定権は酒販各社にある」(大手広報)として、メーカーが安売りを引き起こしてはいないというスタンスだ。
しかし、実際には、戦略的な新商品の投入の際に販売奨励金を上積みし、販売店での取扱量を増やし、キャンペーンを実施してもらうといったことも多いのが実情。メーカーと値引き販売を行う店舗が連携しているケースもある。
ビール各社は、平成27年度の与党税制改正大綱に盛り込まれたビール系飲料の税率格差をなくす議論に注目している。しかし、ビール類の出荷が縮減傾向を示し、各社が激しい販売競争を展開する中では、安売り規制が業界シェアに影響する可能性が高い。各社は今後の国会審議の行方に注目している。