金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=30日午後、日銀本店【拡大】
実際、黒田東彦総裁を含む9人の政策委員の間で、物価への見方にばらつきがあるのも事実だ。この日の金融政策決定会合では15年度の物価上昇率について、少なくとも2人の委員が「1.2%以上」と強気にみている一方で、2人以上の委員は「0.2%」と慎重な姿勢を示した。個人消費の回復の弱さに対する懸念を表明した意見が複数出たという。
2%の達成時期に関しても意見が分かれた。白井さゆり審議委員は「16年度を中心とする時期」、佐藤健裕委員と木内登英委員が「(17年度までの)見通し期間中に2%に達しない」との表現にすべきだとの提案を出したが、いずれも反対多数で否決された。
黒田総裁は「3人が物価安定目標に若干違った意見を持っていたことは事実だが、大半の委員の見通しは、私が申し上げていることと何ら変わりはない」と述べるにとどめた。
達成目標の後ずれについて、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「目標達成まで3年強かかることを意味する。日銀は『2年程度』の旗は降ろさず、事実上あいまいにしている」と指摘する。