近年、細断片をコンピューターで拡大し、文書を復元する解析技術が進歩しているが、同シュレッダーは「マイナンバー制度で紙情報破棄の条件となっている、復元できないレベルでの細断が実現できる」(同社)。
国内の事務向けシュレッダー市場は年間約100億円あり、同社の松本弘一社長は「マイナンバー制度の対応が本格化すれば市場が倍になる」とみる。
マイナンバー制度が成熟すれば、商機はさらに広がる。今国会で審議されているマイナンバー法の改正案が可決すれば、18年からペイオフ(金融機関の破綻時に預金払戻保証額を元本1000万円とその利子までとする措置)のときの口座合算や、予防接種などの履歴を転職先の健康保険組合や転居先の自治体に引き継げるなど、利用範囲が拡大される。国は今後、介護や戸籍、旅券など、公共性の高い分野でも個人番号とサービスを結びつけることを検討する。
一方、消費者の不安を解消するため、不正行為を処罰する「データベース提供罪」の新設などが個人情報保護法の改正案に盛り込まれた。政府が法整備を進めることで、国民の制度への信頼が高まれば、民間による個人番号の利用は活発になるはずだ。(鈴木正行)