日本郵便が1年半試行してきた「みまもりサービス」の収益事業化に本腰を入れる。今秋に予定されている日本郵政の株式上場を控えて赤字事業の黒字化が急務となっていることが背景にある。安倍晋三政権が重要政策に据える地方創生の観点から新たな地域密着サービスを具体化する狙いも込められている。
日本の65歳以上の高齢者数は約3300万人(2014年9月末)に達し、新たな市場を形成。幅広い産業から高齢者向けサービス参入が相次いでいる。独居老人が増えるなか、見守り支援サービスも日本郵便のほか、警備会社や運輸業者、不動産管理会社、通信事業者などが提供を始めている。
日本郵便が13年10月に始めたみまもりサービスの利用者数はわずか100人強。過疎地や山間部の集配業務を担う郵便局の職員が月1回高齢者宅を訪問するだけだが、事業採算は赤字状態が続く。
利用者が30人以上と最も多い山梨県の東桂郵便局では、局長自ら高齢者宅を訪れ、困りごとの相談や健康状態などを聞き、遠方で暮らす子供世帯に手紙で報告している。
競合がひしめくなか、サービス拡充とコスト削減という相反する課題をクリアするのは容易ではない。