【「休眠預金」を考える】(上)注目集める「社会的インパクト投資」 (3/3ページ)

2015.5.28 05:00

 韓国では08年、休眠預金の管理団体「微笑金融中央財団」の前身である「休眠口座管理財団」が設立され、活動を開始した。休眠預金の返金処理に加え、マイクロクレジットや福祉事業者への無利子融資を行う。休眠預金を寄付するかどうかは金融機関の任意判断だ。預金者は、寄付される予定の休眠口座の有無を金融機関共通のポータルサイトや各窓口で確認することができる。

 以上のような資金運用の概念を取り入れた社会的事業への支援策により、休眠預金を目減りさせずに社会的イノベーションが促進され、再投資による事業の拡大も期待される。

 日本も含め、財政事情の厳しい国では全ての社会的課題を公的資金だけで解決するのは、もはや困難。日本では14年4月に「休眠預金活用推進議員連盟」が発足し、早ければ今通常国会に英国のモデルを参考とした関連法案が提出される予定だ。

 それほど大きなリターンを望むことはできなくとも、住み心地良き社会環境という配当を得るならば、社会的インパクト投資を行う価値は十分にあるだろう。

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【プロフィル】石川和男

 いしかわ・かずお 東大工卒。1989年通産省(現経済産業省)入省。経済、エネルギー、産業、消費者など各種の政策に携わり2007年退官。東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授などを経て11年9月から現職。49歳。福岡県出身。

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