クールビズ以上の軽装を職場で促す「スーパークールビズ」が1日始まり、関連業界で、“涼”をテーマにした商戦が熱を帯び始めている。速乾性シャツや汗シミを防ぐ制汗剤、熱中症対策用に塩入り清涼飲料の投入など、あの手この手でクール需要を取り込もうと懸命だ。
百貨店や紳士服専門店ではスーパークールビズ商戦に合わせ、汗を素早く乾かす素材など、機能性を打ち出した商品をそろえた。
松屋銀座本店(東京)は綿を使用した通気性の高いジャケットやシャツを充実させ、ネクタイを着けていても、涼しさが感じられるスタイルを強く訴求する。
西武池袋本店(東京)は吸水性や速乾性に優れた素材を利用し、軽快に仕事ができる麻のシャツなどを取りそろえた。5月の“軽装”スーツ商戦では前年比10%増となるなど好調なスタートを切っているという。
紳士服販売チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事は、太陽光の熱線をはね返す「熱遮蔽(しゃへい)」機能を持たせたスーツを前年比1・5倍の15万着用意し、先月16日から発売した。スーツの表面温度を従来比5~10度下げられるという特徴をテコに販売増を目指す。
夏になると気になる衣類の汗ジミを防ぐ制汗剤商戦も熱い。今年は効果が長続きする「直塗り」タイプが主流で、暑い日が続いた5月の販売は既に前年同月を約3割上回る好調ぶりだ。
ライオンのじか塗り「Ban汗ブロックロールオン」は、脇などに直接、制汗成分を塗ることができ「衣服の染みを抑えたい女性を中心に人気だ」(同社)という。花王は、2月に刷新した汗拭きシート「ビオレさらさらパウダーシート」で、汗のベタつきを抑える粉末を肌に付きやすくして爽快感を高めた。ロート製薬も汗に触れると花の香りなどが出る成分を配合した「デオボール」を新発売している。
一方、暑くて肌の露出が増える時節柄、虫除け剤の販売も、例年より前倒しで始まっている。アース製薬は3月、虫除けスプレー「サラテクト」に、従来品から容量を倍増した商品を追加した。「昨夏のデング熱の流行もあり、家族全員で使うケースもある」(広報担当者)としている。
食品で目立つのは熱中症対策飲料の投入だ。アサヒ飲料は100ミリリットル当たり41ミリグラムのマグネシウムを含んだ「すきっとレモン」を2日から投入。またキリンビバレッジが発売している塩入り飲料「世界のKitchenから ソルティライチ」は年間販売のうち夏場が半分以上を占める熱中症対策の定番となっている。
酒類では、合同酒精が酒をシャーベット状にして楽しむ「鍛高譚のあっさり梅酒」を販売。カフェ&バー「プロント」を運営するプロントコーポレーションは、夕方から閉店までの限定商品として3種類のカクテルアイスバーの販売を開始した。涼を求める若い男女のニーズを取り込み、8月31日までの期間中、来客数で前年比10%増を狙う。