【浜松物語】河合楽器(1)「独自の音色守り、欧米の老舗に挑戦」…河合弘隆社長 (2/3ページ)

2015.6.23 06:00

 --浜松での創業が影響しているのか

 「あえていうならば気候でしょう。創業者の河合小市が、現在の浜松市にあたる地で1886年に生まれたのは偶然だが、創業してからは地の利も味方した。浜松は本州の中では比較的温暖な土地柄だと私どもは認識しており、今のように温度・湿度管理のできる保管システムもなかった時代、その気候はピアノの主原料である木材の保管、加工に適していた。今は静岡県磐田市の竜洋工場で、近代化された設備による精度の高い量産体制を敷き、同時に原器工程という熟練工による昔ながらの手作り工程も続けている。そこで守っているカワイトーン、その原型はまさに浜松だからこそ生まれた音といえるだろう」

 --その河合小市から数えて河合弘隆社長は3代目になる

 「音楽の世界にピアノが登場したのは1700年ごろ、クリストフォリが開発したピアノフォルテが原型といわれる。欧米のピアノメーカーの中には創業からの年数が3桁という先達も珍しくない。それに比べ、当社はまだ88年。バトンは今後、3桁の時代を迎える人たちに渡される。特に伝統を重んじる傾向の強いクラシック音楽の世界において、3桁の仲間入りをすることは光栄であり、その時代になっても、カワイトーンの原型が浜松生まれである限り、世界的な生産供給体制になってもメード・イン・ハママツの精神は不滅だ」

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