中期経営計画を発表するソニーの平井一夫社長。分社化により、各事業の採算性向上を徹底させる方針を示した=2月18日、東京都港区の本社【拡大】
■【革新 ソニーの“苦闘”】(中)「安定志向」 独創性なくなる懸念も
2014年春、ソニーのテレビ事業ナンバー2だった高木一郎(現ソニービジュアルプロダクツ社長)は、トップの今村昌志(現ソニー執行役)に念を押した。「これで駄目なら、撤退かもしれません。覚悟を決めましょう」。世界最大の家電量販店ベスト・バイとの連携に最後の決断を促したのだ。
特定の販売店との関係強化は別の販売店との関係を損なう恐れがあり、慎重にならざるを得ない。ところが、ソニーはベスト・バイと提携し、昨年5月から北米約1000店のうち約350店に約50平方メートルの専用売り場を設けた。
確実に利益を出す
テレビ事業は韓国、中国勢との競争が激しい。かつて、ソニーは販売数量の拡大を目指したが、値下げ合戦に巻き込まれ採算が悪化した。その反省から、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」など高付加価値の商品を軸に、確実に利益を出す方針に転換した。