「光水素製造デバイス」の試作機を披露するパナソニックの宮部義幸専務=3日、東京都江東区【拡大】
環境に優しい次世代エネルギーとして期待される水素を活用した社会を実現しようと、電機・重電メーカーの取り組みが活発化してきた。パナソニックは3日、太陽光を利用して水から水素を取り出すという開発中の技術を公表した。東芝も同日、北海道で水素の製造から利用までを行う実証実験を行うと発表。2020年東京五輪で「水素社会」を世界にアピールする政府の計画を背景に、各社とも事業化に本腰を入れ始めている。
パナソニックは同日、都内で水素社会の実現に向けた説明会を開催した。太陽光を利用した水素生成は従来は、二酸化チタンと呼ばれる触媒を使用し、利用効率は太陽光の約4%にとどまっていた。パナソニックは「Nb(ニオブ)系触媒」材料を使った技術を開発し、利用効率を57%まで高めた。今後も触媒の利用効率を高め、さらに低コストな水素製造を目指すという。
同社による水素関連の取り組みは、09年度から家庭用燃料電池「エネファーム」を発売。業界全体で14年度に累計10万台を突破し、20年度に140万台、30年度に530万台の販売を見込んでいる。宮部義幸専務は「今後も(工場などの大規模発電ではなく)家庭やビルなど分散発電をメーンに取り組んでいく」と話す。