大胆な店舗改装とともに、マクドナルドが業績回復に向けた最大の“起爆剤”と位置付けるのが「魅力的なメニューの提供」(カサノバ社長)だ。売り上げ減少の要因は、画一的なメニューやサービスが客に飽きられたことも指摘されている。実際、08年に本格的な販売を始めた「クォーターパウンダー」が通常の2.5倍のビーフパティを使って人気を集めた後、ヒット商品は不在の状況が続く。
売れる商品があれば、来客数は当然増える。そこで、画一的メニューの改革を目指して戦略的に投入するのが「日本独自のハンバーガー」(カサノバ社長)だ。これまでも「てりやき」「えびフィレオ」を定番メニュー化し、秋冬限定の「月見」「グラコロ」など日本独自の商品を展開してきた。下期は新たに日本各地の名産品や日本人が好む味付けにしたバーガーを相次いで売り出すという。
もっとも、どの外食チェーンでも最近は大ヒット商品が生まれていない。このため、マクドナルドは世界各地の地域限定で売り出されている商品の投入も検討。持ちうる戦力を全て投入して顧客の選択肢を増やし、売り上げの積み上げを目指す。
商品の改革などを通じ「16年に既存店売上高は(年間で)前年比プラスに転じる」と言い切るカサノバ社長。自信に現実が追いつけなければ、経営陣の責任が問われる事態は免れない。(今井裕治)