独製薬大手、ベーリンガーインゲルハイムはこのほど、中国でOTC(一般用)中薬製剤の販売を開始したと発表した。外資系企業が単独で中薬製剤を市場投入するのは初めて。中国国営新華社通信が伝えた。
同社大中華圏のデービッド・プレストン総裁は「中薬製剤分野への参入はセルフメディケーション事業を発展させる重要戦略」と位置付ける。
実際、外資系企業が中薬事業に携わるケースはほとんどない。2014年に独バイエルが36億元(約700億円)を投じて●虹薬業を買収したぐらいだ。●虹薬業は、皮膚科のOTC製品や婦人科治療の生薬などを生産しており、13年の売上高は1億2300万ユーロ(約169億5000万円)だった。
この買収劇が業界の注目を集めた背景には、処方薬の特許切れや競争激化で外資系各社が中国のOTC市場に目を向けていたことがある。
その一方で国内企業の海外進出は困難を極める。輔仁薬業集団の朱文臣董事長は「東南アジア市場への参入は特に問題はないが、欧米市場への参入は難しい。消費者に服薬習慣があるうえ業界基準もある」と話す。
中国医薬保健品輸出入商会によると、14年の中国と欧州の医薬品貿易額は332億ドル(約4兆1300億円)。そのうち製剤品は93億5000万ドルだが、中国からの輸出は4億5000万ドルにとどまる。業界関係者は「各国の中薬に関する基準や市場の受容性はまちまちで、なおハードルが高い。現地市場とさらなる意思疎通を図りながら障害を取り除いていくことが求められる」と指摘している。(上海支局)
●=さんずいに眞