「旅を連想させるカバンに夢とロマンを感じる」と話す藤咲和也氏【拡大】
子供の頃から自然界のすべてに敬意を表し、恩恵を享受するインディアンの世界観と思想が好きだった。それは現在の仕事観に通底する。世の中のありとあらゆるものからヒントを得られないかという視点でものを見ること。大量生産ではなく、心を込めたものを丁寧かつスピーディーに製作して届けることが、依頼者にも世の中全体のためにもなると思っている。
ロールモデルは米国在住のカバン製作者、ジュディー・オーガー氏。ヴィンテージの生地を自由かつオリジナルにつなぎ合わせ、作った一点物のカバンはとても素晴らしい。古材を再利用し、環境貢献している点も見習いたい。
次世代へのメッセージを聞いた。「好きなことを追求してください。好きなことを見つける努力を怠らないでください。僕も自分の知らない好きがたくさん眠っていると思うので、それを見つけていきたいと考えています」。15年、製作拠点を神奈川県平塚市に移した。
エフ・ラインのコンセプトはフラットな人間関係。藤咲氏の作品には純度の高さと自然の息吹を強く感じる。好きを極めた本気度は作品を手にすれば伝わるはずだ。
◇
【プロフィル】柴田明彦
しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。亥年、乙女座、AB型。慶大法卒。83年電通入社、新聞局業務推進部長などを歴任し、2006年退社。一般社団法人「NS人財創造機構」を設立し、大学講義や講演会、研修を行う。14年に設立した「多様性工房」で、広報・宣伝や販売コンサルティングも手がける。著書は「ビジネスで活かす電通鬼十則」(朝日新書)ほか。