三浦健一【拡大】
遊技産業は、ギャンブル依存症の調査で対象となった業種の中で唯一、依存(のめり込み)対策を鮮明に打ち出したのだから、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の過去の例を省みて、さらに議論と対策を進めていくことが求められる。
今国会でのIR推進法案審議は流れたが、水面下ではカジノ解禁に向けたいろんな動きが大きく渦巻いている。それらの動きも見定めた上で業界の構造改革、低射幸性への遊技シフトに確かなかじを取る必要があるだろう。ただ、構造改革には業界が堂々と、行政に対してモノを言える勇気と態勢を築かなければならない。将来のカジノ解禁の動きはその意味で、行政と対等に話ができるチャンスなのかもしれない。
換金とくぎ、まずは行政の不作為といえるこの2つのタブーに挑戦すべきだ。低射幸性、大衆娯楽に戻るにはくぎのタブーもあわせて打ち破っていく必要があるし、今回のくぎ問題ともリンクする低交換率へのシフトは不可欠なのだ。
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【プロフィル】三浦健一
みうら・けんいち 1949年生まれ。遊技業界専門誌の編集長を経て89年に独立。月刊誌「シークエンス」を創刊し、業界で初めてFAXによるリアルタイムの情報配信もスタートさせた。業界ジャーナリズムの先駆け的存在として知られる。