【生かせ！知財ビジネス】次代の注目人材（２） (2/2ページ)

　平沼氏はさまざまな海外のビジネスサイトを分析して、日本に合う新たな知財ビジネスの研究を進める。注目しているのは、増加中の無形資産を取引する専門市場。さまざまなウェブビジネスサイトの取引市場や、アイデアと資金をマッチングするクラウドファウンディング市場、専門家や専門スキルの取引市場などだ。

　「新市場はアイデアの実用的価値を急上昇させ、知財の価値の再定義を進めている」。従来の特許売買や技術移転の市場では、知財を活用するアイデアを持った人でないと実用的価値を評価できなかった。だが新市場ではアイデアがオープンで誰もが評価でき、知財はその実現モジュールとして後で付いてくることになる。難解な技術的価値や権利的価値よりも、実用的価値の定義が先行する方が市場を動かす力になる。前者は知財として法的に保護されるが、後者は法律が追いついていない。

　「ビジネスのアイデアが電子商取引される時代が到来した。そのような市場形成をサポートする仕組みを構築したい。逆に言えば、特許などの知財できちんと保護されたアイデアが取引される市場を作ることができればベストだし、例えば、ある特許の実用的価値をプロトタイプのビジネスアイデア市場で計ることができるような仕組みがあっても面白い」と平沼氏は力説する。（知財情報＆戦略システム　中岡浩）