【Bizクリニック】地震対策に“おもてなし”の精神を (2/2ページ)

2015.10.27 05:00

 最も大きな違いは、ほとんどの情報が日本語で発信されるため、外国人は情報を取得しづらいことである。そのため不安が増幅される。このような外国人と日本人の差を理解し、身近に外国人がいたら適切な支援を行う必要がある。

 20年の東京五輪を控え、日本人の“おもてなし”の心が再認識されている。日本が世界有数の地震国であることを考えると、地震が起きたときに外国人旅行者に適切な支援の手を差しのべることは、極めて大切な“おもてなし”の行動になる。

 東京都産業労働局は13年、ホテル・旅館などの宿泊施設業や、旅行斡旋(あっせん)業・バス運送業などの各種観光関係業界向けに「外国人旅行者のための災害時初動対応マニュアル」を作成した。原案のまとめに参加した筆者は、これらの業者が事前に準備しておくことや地震後の対応について提言した。

 このマニュアルは、とりわけ初動対応における呼びかけの重要性を強調したもので、具体的には、(1)身の安全を守ること(2)危険から離れること(3)現在の状況を説明すること(4)冷静な行動をとること-などを推奨している。これは、観光関係の業界だけでなく、一般企業の社員にも実行してほしい内容である。

 地震が起きたら自分の身を守り、周りに呼びかけを行う活動は「シェイクアウト運動」として全世界で展開されている。

 地域防災支援協会は、東京五輪に向けて“おもてなし”の精神で有事に対応できる防災リーダーの育成に努めている。

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【プロフィル】梶秀樹

 かじ・ひでき 東工大院修了。1985年筑波大社会工学系教授、93年国際連合地域開発センター所長を兼任、99年慶大総合政策学部教授、2007年東工大特任教授、14年から現職。工学博士、筑波大名誉教授。元東京消防庁火災予防審議会副会長。専門は都市防災学。73歳。東京都出身。

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