日本アグフア・ゲバルトの「アズーラ速乾印刷」を1年前の2014年10月に全面導入したサンケイ総合印刷(埼玉県戸田市)。現場の指揮を執る製作本部の川口泰弘副本部長は「最初は速乾を完全には信じられませんでした」と語る。同社は、新聞や書籍、雑誌、さまざまな商業印刷にも幅広く対応している総合印刷会社だ。
◆一歩踏み込むには勇気が必要
小ロット、短納期、高品質が求められる昨今、速乾印刷には関心を持っていたが、一歩踏み込むのは大きな決断だった。「新しい技術に対して、印刷の現場が保守的に考えてしまうのは、安定した品質を維持したいため。何かを変えるということには勇気がいりました」と振り返る。
そんな折に、既に「アズーラ」を用いた速乾印刷を導入している他の印刷会社を見学する機会があった。実際に工程を見て、「確かに乾いている」と、その仕上がりに同行した同僚とともに驚き、感動し、導入へと動き始めたという。「見学した他社の機械では実現できているが、自社の機械でも同じように乾くのかという不安は少しありました。しかし早く乾くという魅力と、インクの乾燥不足による仕上がりの悩みが解消されるならやってみようと話し合い、導入を決めました」と話す。
導入を決めてからは、日本アグフア・ゲバルトのコンサルタントが立ち上げをサポート。機械などの設備を全く変える必要がないため、スムーズに移行された。導入前の「自社の機械でも同じように乾くのか」という不安についても、問題なく速乾印刷を実現し、スピードアップの大きな改革となった。1年を通して運用した感想について、導入に向け社内調整に尽力した元執行役員の千葉信さん(現シニアアドバイザー)は「現像がなくなったことで作業的に楽になりました。また速乾で工程が早く進められることで、製作スケジュールを1日縮められるようになりました」と、作業効率改善と顧客サービスの向上を実感しているという。