世界で戦う覚悟決めたMRJ 「やってみろ」“血判状”で始まった第一歩 (3/4ページ)

2015.11.13 01:00

愛知県営名古屋空港から離陸したMRJ=11日午前9時35分、愛知県(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)

愛知県営名古屋空港から離陸したMRJ=11日午前9時35分、愛知県(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)【拡大】

 ■新型エンジン採用 燃費2割改善

 特に燃費を2割削減するうえで、最も性能を左右するのはエンジンの選定だ。同プロジェクトの最終年度となる2007年夏、戸田は、腰痛で入院中だった西岡の病床を訪ねた。航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の新型エンジンを採用する承諾を得るためだ。

 P&Wの新型エンジンは燃費が他社製品に比べ20%優れるが、世界で初めての採用になる。戸田はベッドに資料を広げ、熱っぽく語った。他社が使っていない新型エンジンの搭載は、航空機開発のリスクでもある。だが、ベッドから半身を起こした西岡は「それで行こう」とうなずいた。

 「年率5%程度の成長により、今後20年間で約4兆ドル(約500兆円)に上る」。自民党が昨年まとめた航空ビジネスの基幹産業化に向けた提言にこうある。

 航空機に使われる部品点数は約300万点に上り、自動車の約100倍に及ぶ。素材や部品、搭載機器など産業への波及効果も高い。

日本の航空機産業は、長く欧米の“下請け”に徹してきた

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