創業以来、いつも見守ってくれた絵皿と=東京都千代田区【拡大】
■決意の起業 強気支える誓いの絵皿
1969(昭和44)年5月、起業しました。32歳のときです。46年前ですから、ベンチャーとか、アントレプレナーといった言葉もなく、かっこいいなんてイメージはありません。大学は出たものの、どこにも就職できず、女性が「世の中に役に立つ仕事をしたい」との志に向かって歩むには、自ら起業するしかなかったからです。
◆暗黙のルールに愕然
津田塾大学を卒業。就職活動でたくさんの企業を受けましたが、どこも採用してくれませんでした。今では当たり前ですが、「絶対に男性にひけをとらない仕事をします」と話すと、採用者から「そんなことを期待していませんよ」と冷ややかに言い返され、全て不採用でした。今の若い女性はびっくりされるかもしれませんが、「女の実質定年は25歳」と言われていた時代でした。25歳までに寿退社するというのが暗黙のルール。勝ち気でヤル気満々だった私には考えられないことだった。社会の入り口で、この国の女性に対する厚くて高い壁を目の当たりにして、愕然(がくぜん)としました。
絶望のふちに立って、しょげていても仕方がありません。むしろ、踏ん切りが付きました。「それなら自分で独立してみせる」。10年後に会社を設立すると期限を区切り、決意したのです。当てはありません。アメリカ、ヨーロッパをさまよいながらも、いろんなことに体当たりでぶつかっていきました。