北米国際自動車ショーでスポーツ用多目的車(SUV)の試作車「ティグアンGTEアクティブ・コンセプト」を発表する独フォルクスワーゲン米国法人のホーン最高経営責任者(右)ら=11日、米ミシガン州デトロイト(小雲規生撮影)【拡大】
【ワシントン=小雲規生】米ミシガン州デトロイトで11日開幕した北米国際自動車ショーで、各社は高級感を打ち出した新型乗用車を発表し、消費者へのアピールを狙った。米国市場では原油安や低金利を背景にして、スポーツ用多目的車(SUV)などの大型車人気が健在。大型車は2016年も販売台数記録を更新すると期待されており、各社は大型車重視の戦略も続けている。一方では各社は電気自動車(EV)などのエコカーの開発にも迫られているが、当面の米国商戦では「エコ離れ」が進みそうだ。
「レクサスが退屈な車でないということに同意してもらえると思います」。トヨタ自動車の豊田章男社長は11日、高級車ブランド「レクサス」の新型車「LC500」の発表を自信満々の一言で締めくくった。
豊田社長は発表会でかつてレクサスが「運転が楽しくない」などと酷評されたというエピソードを披露。そのうえでLC500は最高出力475馬力のエンジンが生み出す走行性能とこだわり抜いたデザインを両立させたとして、高級車ブランドへの熱意を示した。
また日産自動車も高級車ブランド「インフィニティ」の新型車「Q60」(日本名スカイライン・クーペ)をお披露目。BMWなどの欧州勢、韓国の現代自動車なども高級感のある乗用車を発表の軸に据えた。
ただし15年に過去最高の販売台数を記録した米国市場でも、乗用車の伸び率は前年比2・2%減と低迷した。逆に売れ筋だったのはSUVなど大型車で、13・1%増の成長だった。足元で12年1カ月ぶりの水準となっている原油安によるガソリン価格の低下で、消費者への燃費への関心が薄れているかたちだ。
こうしたなか、ホンダや米フォード・モーター、「FCA US」(旧クライスラー)などはピックアップトラックなどをアピール。なかでもホンダは11日、北米でのSUV生産体制の強化を発表し、八郷隆弘社長は記者会見で「SUVなどの大型車は中国市場でも拡大が続く」と分析。成長市場の北米、中国での大型車の重要性を強調した。
一方では各社ともエコカー市場の拡大を諦めているわけではない。日産自動車のカルロス・ゴーン社長は11日の記者会見で、国際的な気候変動問題への関心を踏まえ、「時間はかかるにしても、排出量ゼロが求められていることに変わりはない」と、エコカーへの悲観論を打ち消した。
しかし米ゼネラル・モーターズ(GM)は量産型「ボルトEV」の発表の場として今回のデトロイトでのショーではなく、先週開かれたネバダ州での世界最大の家電見本市「CES」を選択。米EVベンチャーのテスラ・モーターズは今年のショーへの出展を見送った。自動車市場でのエコカーの存在感は原油安の陰に隠れてしまっているようだ。