セゾングループの堤清二代表と【拡大】
堤さんとお会いしたのは東京・芝公園の東京プリンスホテルの地下のカフェ。私たちは堤さんを取り囲んで、「日本で初めての新しいサービスです。前例がないから始めることに意味があるはずです。ぜひ前例になってください」と頼み込むと、そのころ、新たな価値の創造を発信していた堤さんは、私たちの意義に共感していただき、「分かった、分かった、核家族に悩む人の力になるというのであれば、やってみましょう」と快諾してくれました。1972年1月のことです。
ただし、契約は1年間。堤さんは「その成果を見て、次年度の契約を結びます」と言ってくれましたが、それで私は満足でした。「西武百貨店が赤ちゃん110番の意義を認めてスポンサーになっていただいたことを、これから前例として営業交渉で話すことを許してください」とちゃっかりとお願いをして、堤さんは受け入れてくれたからです。
それまで営業しても「前例はないのですか」と言われて断られ続けてきただけに、まず前例をつくることが大きな目的だったのです。堤さんは、2年目以降もずっと継続してくださいました。