小堀秀毅代表取締役専務執行役員【拡大】
旭化成の浅野敏雄社長(63)が、子会社の旭化成建材(東京)のくい打ちデータ改竄(かいざん)問題を受け、退任する方針を固めたことが7日、分かった。
次の中期経営計画が始まる4月に合わせて経営体制を刷新する。後任は小堀秀毅代表取締役専務執行役員(61)を軸に最終的な調整を進めている。
旭化成は、約10年間で360件に上った改竄で消費者の信頼を失い、主力である住宅事業の受注も減少していた。旭化成建材の前田富弘社長(61)も退任する方向で調整している。
昨年10月に横浜市の傾いたマンションで改竄が発覚した当初は、一部の現場担当者の不正行為とする見方もあったが、旭化成の社内調査でデータを改竄した物件が急増し、関わった現場担当者も、約60人に達した。不正が常態化していた状況が明らかになり、トップの退任は避けられないと判断したとみられる。
浅野社長は2014年4月に社長に就任。約2年間での退任となる。
小堀氏は電子部品事業の出身で、経営戦略や財務などを担当している。
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【プロフィル】小堀秀毅
こぼり・ひでき 神戸大卒。1978年旭化成工業(現旭化成)。2014年から代表取締役専務執行役員。金沢市出身。
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【用語解説】くい打ちデータ改竄問題
旭化成の子会社の旭化成建材が建物のくい打ち工事で、他のくいの記録を転用するなどしてデータを改竄した問題。昨年10月に横浜市の傾いたマンションで改竄が発覚し、全国の学校などでも不正が確認された。業界大手のジャパンパイルなどの工事でも改竄が見つかった。国土交通省は横浜のマンションの施工管理体制に問題があったなどとして、元請けの三井住友建設と下請けの日立ハイテクノロジーズ、孫請けの旭化成建材の3社に業務改善命令を出した。