旭化成は9日、子会社の旭化成建材(東京)によるくい打ちデータ改竄(かいざん)問題に関し、社内に設けた調査委員会の中間報告書を公表した。昨年10月に問題が発覚する前に、データ改竄があったことが当時の旭化成建材社長に報告されていたが、対策を取っていなかったことを明らかにした。再発を防ぐため、役職員への教育を強化することも強調した。
報告書によると、データ改竄をめぐる取引先とのトラブルが過去に3件あり、うち1件は2007年から12年にかけて旭化成建材社長だった小林宏史前社長にも報告されていたが、原因究明などをしていなかった。3件の安全性には問題がなかったとしている。
報告書は現場担当者らにデータ軽視の意識が蔓延(まんえん)しており、旭化成建材の管理体制も不十分で多数の改竄につながったと指摘。施工の不具合を隠すための意図的な改竄はなかったとした。くい打ち事業は事業環境が厳しいことなどから、人員が固定化し、改竄問題を指摘する者がいなかったほか、社内の関心も低かったという。再発を防ぐため、業務内容を定期的に報告するなどして組織の風通しを良くすると強調した。