パチンコ業界は、たしかに風営法という法律で刑法の賭博罪に当たらないよう規制はされているが、収益の一部を明確にしてそれを国、地方自治体に還元する公益の仕組みはパチンコ、風営法にはない。唯一、過去の大衆娯楽に常にフラッシュバックされた刑法185条の「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる者は、この限りではない」に依拠しているだけである。それすら最後のとりでとして通用しているとは誰も思わないだろう。これが違法、グレーというパチンコ産業と所管の警察行政が抱え続ける矛盾(あいまい性)であり、「健全な大衆娯楽」のステレオタイプでしか自身の存在の正当化をアナウンスするしかない、業界の不幸なカリカチュア(戯画)である。
過去の大衆娯楽に総返りするか、遊技機そのものを性能的に大衆娯楽に改造した「封入式」にしていくか、いずれにせよ法的にも社会的にも国際的にも、決断を迫る刃先が突きつけられている。
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【プロフィル】三浦健一
みうら・けんいち 1949年生まれ。遊技業界専門誌の編集長を経て89年に独立。月刊誌「シークエンス」を創刊し、業界初のFAXによる情報配信もスタートさせた。業界ジャーナリズムの先駆け的存在として知られるが、今年1月25日、病気のため死去した。