三井住友銀行の労働組合が今春闘で、経営側に対し、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)の要求を見送る執行部案をまとめたことが23日分かった。ベアを要求しないのは2013年以来、3年ぶり。日銀のマイナス金利政策導入で、銀行を取り巻く事業環境が厳しくなっていることなどを考慮したとみられる。
日銀のマイナス金利政策は、市場金利を押し下げ企業業績を改善させることで、企業に賃上げを促すことが狙いの一つだった。だが、金融業界でベア見送りの動きが表面化したことで、政策の実効性を問う声が強まりそうだ。
三井住友銀の労組は組合員の意見を踏まえて最終決定し、3月中に正式に経営側へ要求書を提出する。
三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行の労組も近く執行部案をまとめる見通し。大手行の労組の一角がベアの要求を見送る方向となったことで、地方銀行や信用金庫を含む金融業界の春闘に影響が広がりそうだ。
大手銀行は不良債権問題による経営悪化などで長期間ベアを実施していなかったが、14年に三菱東京UFJ、三井住友、みずほの大手3銀行で19年ぶりにベアが復活した。