インタビューに応じる東京中小企業家同友会の三宅一男代表理事=東京都千代田区【拡大】
□東京中小企業家同友会・三宅一男代表理事
2016年春闘では、中小企業による賃上げの動きがどこまで広がるかに注目が集まる。大企業との格差を少しでも是正し、消費を本格回復させる一歩につなげることができるのか。東京中小企業家同友会の三宅一男代表理事に聞いた。
--過去2年の春闘では大企業と中小企業の賃上げ水準の差が拡大した
「格差の縮小があるべき姿だが、その方向に向かっているとは思えない。むしろ広がっているのが現状だ。その要因は景気の不透明感が強まっている点。例えば、超低金利を背景に金融機関から『お金を貸す』とアプローチされても、需要の先行きが見えないため、使い方が分からず見送っているのが、中小企業を取り巻く一般的な流れだ。金融緩和が企業業績の向上にリンクするのか、疑問に感じている」
--慢性的な人手不足が春闘に与える影響は
「建設関連業界で職人の引き抜きが活発に行われているように、人手不足は深刻だ。特に人材を確保できなければ立ち枯れとなるだけに、労働力の確保に向けては賃金を上げざるを得ない。しかし、そのプレッシャーは大きい」
--賃金体系や働き方に対する東京中小企業家同友会の姿勢は
「経営的には厳しいが、最低賃金をもっと上げる必要があるというのがわれわれの主張。働き方の改革も必要で、正規雇用という姿を追求することが大事だ。こうした考えに基づき、しっかりとした経営を行った上で給料を支払い、需要の底上げにつなげていくことが経済の王道だと認識している」