【論風】デジタル革命の本質 日本拠点の企業にチャンス (2/3ページ)

2016.3.3 05:00

 ◆社会課題解決に向けての飛躍

 今、このデジタル革命が、全ての製造業、金融業、さらには第1次産業や第3次産業全体にも広がっている。多くのヒト、モノ、サービスがネットでつながり大量のデータが集積する。そのデータを使ってAIが飛躍的に発達し、そこから新たなビジネスモデルが生まれ、モノづくりの自動化、ロボット化、標準化も加速する。社会実装されたAIはそこでデータを吸収、「自己学習」し、スパイラル的により賢くなっていく。そして産業の姿を大きく変え、生産性を革命的に押し上げる。これらのイノベーションは、まさに新たな産業革命(第4次産業革命)として既存の産業構造を大きく変えようとしている。これに備えるには、事業モデルはもちろん、会社の形、ガバナンスや人事・組織の基本構造(背景にある規制や法制度)についても強烈かつ迅速なモデルチェンジが求められる。

 今後のデジタル革命の勝負はハードメカニクス(モノ)の世界とインターネットサービス(コト)の融合領域における戦いであり、わが国のお家芸、メカトロ二クスが深く関わる分野である。自動運転や、医療・介護のロボット化等がその典型である。そこで解決が期待される社会課題は、少子高齢化、人手不足やエネルギー問題など、日本が世界に先んじて直面している課題群である。つまり、然るべき環境さえ整えば、わが国をホームグラウンドとしている企業は、世界の最先端に躍り出られるビッグチャンスに遭遇しているといえる。

 昨年11月に産官学の共同でIoT推進コンソーシアムが発足し、私はその実動部隊の一つである先進的事業モデル推進ワーキンググループ(通称「IoT推進ラボ」)の座長に就任した。今後、こうしたプラットホーム組織を活用して、さまざまな分野でのIoTの社会実装や、規制改革とルール整備を迅速に進めることが期待される。わが国を世界で最もIoTイノベーションを起こしやすい国にし、社会課題を解決するとともに、生産性の革命的向上と産業競争力の飛躍的な向上につなげていきたい。

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