アサヒビールのビール工場内の煮沸釜(同社提供)【拡大】
「ホップと麦汁を別の釜で煮沸したら煮沸時間の短縮につながるはずだ。こんな逆転の発想からPIE煮沸法は誕生した」。経営企画本部社会環境部の内田光喜課長補佐はこう話す。従来の煮沸釜本体の約50分の1の別の釜(PIE)を用意し、ホップはそこで煮沸した。ホップの臭みを取り除いてから麦汁を煮沸する釜に投入するため、煮沸時間がこれまでよりも約30%短縮。さらに、これにより煮沸工程で発生するCO2排出量も従来比約30%削減を実現した。消費電力の大幅削減にもつながったという。
もっとも「導入に至るまでは試行錯誤の連続だった」と内田氏は話す。煮沸温度や釜の中の圧力の調整などで問題が発生したが、一つずつ克服し導入にこぎつけた。PIE煮沸法は2008年に吹田工場(大阪府吹田市)に導入したのを皮切りに、現在では国内全8工場のうち5工場で導入している。
うれしい誤算
環境だけでなく、ビールの品質の向上にもつながるといううれしい誤算もあった。煮沸時間の短縮により、ビールの泡持ち時間を左右するとされるタンパク質の量が増加。これにより消費者はより泡持ちの良いビールを楽しめるようになった。
同社のビール製造工程における省エネ技術は、PIE煮沸法だけにとどまらない。