商社マンからメーカーの三井化学副会長に就任=1999年【拡大】
ところが、住友化学との統合は実らなかった。
2003年3月、統合計画の白紙撤回を発表しました。素材市況改善という追い風が吹き、好決算に転じたためとか、統合比率で折り合わなかった、などと破談の理由は取り沙汰されましたが、これは当事者のひとりとして言えないことが多いのですが、成婚と至らなかったことは、大きな心残りです。
三井化学の会長退任で化学業界から離れることになりましたが、日本の化学工業が大同団結して、世界で活躍するようになってほしいと今でも願っています。
◆「十戒・五郎版」
初めてのメーカー勤務で、三井化学の4年間で強く受けた印象は2つあります。経営トップの経営に対する真摯(しんし)な姿勢と、組織がロジカルに統一され運営されていたことです。
会長に就任したとき、社員にこうあってほしいと「モーセの十戒・五郎版」を作成しました。「基本に戻れ」「世界に人脈を作れ」「自然体で生きよ」など。モーセの十戒はネガティブサイドのことばかりですが、私はポジティブサイドばかりの考え方を披瀝(ひれき)しました。メーカーはともすると保守的で慎重になりがちですから、簡単に言うと、一緒に明るく前に積極的に進もうじゃないか、ということでした。(聞き手 廣瀬千秋)