インターネット通販の楽天や米アマゾンが始めた出店者への融資事業が、先進的な金融サービス「フィンテック」の先行事例として注目されている。IT(情報技術)を活用して毎日の売上高など店舗に関する詳細なデータを分析し、短時間で融資を実行するのが特徴だ。
今通常国会では銀行法改正により業務範囲の規制が緩和され、銀行グループがネット通販サイトを運営することが可能になる。日銀のマイナス金利政策で銀行の収益環境は厳しくなっており、成長する電子商取引市場での融資をめぐって先行するIT企業との攻防が激化しそうだ。
楽天子会社の楽天カード(東京)は、ネット上の仮想商店街「楽天市場」の出店者を対象に昨年10月に新たな融資制度を作った。決算書類の提出は求めず、早ければ申し込みの翌日に最大で500万円を融資する。
審査の時間を短縮できたのは、出店者の扱う商品や売上高の推移、顧客の評価などを細かく把握しているからだ。膨大な情報から返済能力を判断し、融資可能な金額や利率を算出する。
楽天カードの勇浩一郎執行役員は「楽天が出店者の事業展開を支援しているため、融資先が『突然死』するリスクも少ない」と説明する。
アマゾンジャパン(東京)も2014年2月から同様の制度を始めた。担当者は「資金繰りの心配をすることなく、商品の充実や成長戦略を考えてもらいたい」と期待する。
経済産業省によると、音楽配信や旅行予約を含む消費者向け電子商取引市場の規模は14年に12兆7970億円となり、前年から14.6%増加した。大手銀行の幹部は「IT企業の金融サービスへの進出は脅威だ」と危機感を強めている。