耳ざわりの良い言葉を並べ、集めたカネは約4000人から約300億円。マルチ商法が疑われるサンクが1月14日、大阪地裁に破産を申請した。破綻の背景は鳴瀧順史社長がA氏と出会い、RFID事業を立ち上げたことだ。破産申立書によると、A氏は携帯電話の充電器設置のネットワーク販売を手掛けていたMMS社(大阪市)の関係者。MMSは過去に特定商取引法違反(マルチ商法)で業務停止処分を受けていた。
A氏から別のMMS社幹部の紹介も受け、2009年12月にRFID事業のオーナー募集をはじめた。RFIDは無線通信によって情報を読み書きする自動認識システムで、クレジットカードと電子マネーを用いた決済サービスを展開するものだった。決済端末機を販売し、端末を設置した飲食店などでクレジットカード決済があると、決済額に応じてサンクと端末のオーナーに手数料が入る仕組みで、出資者を連鎖販売的に募集した。
オーナー募集の説明会では、「300万円出資して1日平均9万円の決済があれば、5年間で1000万円近い報酬が得られる」などと強調。「非常に大きく伸びる業界です。低金利で銀行に預金するよりは夢を実現しましょう」とその気にさせていた。
ところがオーナー契約が増加する一方で端末の製造が遅れ、飲食店など店舗への設置が遅れる事態が生じていた。端末製造は外部に多額の資金を拠出して委託していたが、その裏でA氏ら幹部はサンクと契約した以上の金銭が彼らに流れ込むような社内システムを作り、多額の金銭を引き抜いていた。
14年10月、幹部の一人だったB氏が代表を務める会社に福岡国税局の調査が入った。鳴瀧社長は、この時に初めて幹部が受け取っていた金銭の実態を知る。鳴瀧社長は適正な企業形態に戻そうと努めたが、すでに多額の資金が抜かれ、端末機の製造も進まなかった。