こんな場所でお客は来るの? 悲願だった新ホテルは奈良の観光を変えるか (6/6ページ)

2016.3.27 07:15

 県も、奈良に点在する観光エリアを周遊する拠点となるよう、約220億円の事業費をかけてホテル周辺に商業モールや2千人規模のコンベンション施設、イベント広場などの「にぎわい施設」を整備する構想を立てている。だが、施設を運営する事業者はまだ決まっておらず、具体的にどういった全容になるかは見えていない。

 関西、ホテル進出ラッシュ

 関西では現在、東京五輪を見据えて増加する外国人観光客を取り込もうと、外資系ホテルをはじめ宿泊施設の新設ラッシュが続いている。しかし、急増する外国人観光客の増加に宿泊の「受け皿」が追いついていないのも現状だ。

 みずほ総合研究所は27年の調査で、訪日外国人が2020(平成32)年に2500万人まで増えた場合、26年の客室数のままでは近畿地方で約2万3千室が不足すると予測した。同研究所は「現状は中国をはじめ、アジアからの訪日外国人が全体の8割を占めているが、欧米からの観光客拡大も今度は重要な戦略になる」と指摘する。

 こうした現状を見据えた奈良のホテル誘致。周辺のまちづくりと合わせて、先行きには不透明な部分もあるが、新ホテルが低迷する古都の宿泊観光を変える起爆剤となるか、注目される。(有川真理)

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