【経財論】「産学官連携」で日本再興を

2016.3.28 05:00

 □経団連未来産業・技術委員長 小野寺正氏(KDDI会長)

 基礎研究や文理を問わない「知」を持つ大学や研究開発法人(以下、研発法人)とのコラボレーションを革新の原動力にする産学官による「オープンイノベーション」が、今、グローバル企業の成長には不可欠である。わが国が高付加価値な製品やサービスを引き続き創出する上で、産学官連携は科学技術イノベーション政策の根幹たるものだ。

 他方、わが国においては産学官連携を通じた本格的な共同研究が著しく少ない。ノーベル賞受賞者の多数輩出に代表されるわが国の大学、研発法人の潜在能力を産業界が生かし切る環境を実現することこそ「第4次産業革命」時代における日本再興の鍵であろう。私が委員長を務める経団連未来産業・技術委員会ではこの認識に基づき大学・研発法人に求める改革、政府・企業に必要な対応を提言した。

 ◆大学・研発法人への期待

 経団連が実施した調査では、9割を超える企業が、将来の基幹製品・サービスの開発に向けた本格的な共同研究に高い関心を持っていることが明らかになっている。企業は今、自社の事業領域の拡大のみならず、それを超えた「革新領域」を創出するために、大学・研発法人と連携し、将来のビジョンを共有しつつ、基礎研究・応用研究および人文系・理工系を問わずリソースを結集させてイノベーションを加速することを強く望んでいる。

 本格的な共同研究を進めるには、産学官で資金や知、人材の好循環が進むこと、すなわち、双方の壁を越えた「組織的な連携」が不可欠だ。しかしながら、多くの企業は「大学・研発法人は組織的な連携を行う機能が未確立」だと考えている。これを踏まえ、大学・研発法人にはトップのリーダーシップに基づく本部・マネジメント機能などの強化を進め、本格的な共同研究を牽引(けんいん)する体制を構築することが求められる。

 具体的には、産業界のニーズを捉え研究開発プロジェクトを企画し提案する機能、そのプロジェクトを効率的に推進する管理機能、そしてプロジェクトで得られた研究成果を生かすための知的財産マネジメント機能の強化等が挙げられる。

 また中長期的には大学・研発法人が政府からの補助金に過度に依存しない「財源の多様化」を図り、将来に向けた教育・研究・産学官連携の質を高める取り組みを自ら行う体質に改善することも重要といえる。政府においても、産学官共同研究の拡大状況に応じて補助金を充実させるなど、連携を加速させるインセンティブシステムの設計が必要だろう。

 ◆産業界の役割

 まず産業界は、大学・研発法人の改革に応じ「投資」や「知・人材の交流」を拡大する所存だ。加えて、より大型な産学官連携を念頭に、特に企業間での連携が有効な「協調領域(非競争領域)」の研究開発について、迅速な産業育成という観点に立ち、その領域の明確化とともに業種や競合関係を越えた連携を強力に推進していく。

 また、経団連は東京大学との間で、産学共同研究の成果を生かしたベンチャー企業の創出に向けた取り組みや、地方創生に向けた経団連アクションプログラムに沿った「ローカルイノベーション」に資する活動を進めていく。

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【プロフィル】小野寺正

 おのでら・ただし 東北大工卒。1970年日本電信電話公社(現NTT)入社。84年に第二電電企画(現KDDI)へ移り、95年常務を経て、2001年社長就任。10年から現職。68歳。宮城県出身。

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