台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は30日の取締役会で、経営再建中のシャープを買収することを決めた。シャープも30日の臨時取締役会で、鴻海からの出資額を減らす買収条件の変更受け入れを決めた。長引いた交渉がようやく決着し、シャープ再建は大きな節目を迎える。両社は4月2日に契約を結ぶ。その後に、高橋興三社長と郭台銘会長の両トップが記者会見を開く予定だ。
鴻海はシャープへの出資を当初予定の4890億円から1000億円程度減らす。シャープの主力取引銀行の三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行は、新たな融資枠計3000億円の設定や既存融資の金利引き下げで支援する。主力行はシャープへの5100億円の融資について、3月末の返済期限を1カ月延長する方針だ。
シャープは2016年3月期の連結営業損益の予想を100億円の黒字から、1700億円の赤字に引き下げた。
シャープは2月25日に鴻海の傘下入りを決めたが、最終盤で浮上した財務リスクをめぐって交渉は長期化。出資額の引き下げに加え、追加の金融支援といった鴻海の要求にシャープや主力行が応じた。