鹿島酒蔵ツーリズム2016に参加した佐賀県鹿島市と嬉野市の蔵元などの関係者=佐賀県鹿島市の祐徳稲荷神社【拡大】
□平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
今年5年目を迎えた佐賀県鹿島市の「鹿島酒蔵ツーリズム」。市内6つの蔵元の蔵開きと町歩きの祭りが3月26、27の両日、開かれた。昨年から温泉で名高い、隣の嬉野市の3つの蔵元とも連携したこともあって、過去最高の7万5000人の来訪者を記録した。
佐賀県の中ほどに位置する鹿島市は人口約3万人で、主な産業は有明海のノリ養殖や稲作、かんきつ類の栽培などだ。
転機は2011年に、市内にある富久千代酒造の「鍋島 大吟醸」がロンドンで行われた世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で世界一の「チャンピオン・サケ」に輝いたこと。これをきっかけに市内の蔵元や市民、観光協会、行政が協力して、12年の蔵開きの祭りを「酒蔵ツーリズム」に発展させ、大成功を収めた。
その後、観光庁に発足した酒蔵ツーリズム推進協議会でも広く全国に紹介され、政府や他県の酒造関係者による視察が毎月のように続いてきた。鹿島酒蔵ツーリズム推進協議会会長を務める馬場酒造場(「能古見」醸造元)の馬場第一郎社長は「まだまだ改善点はある」と新たな展開に思いを巡らせる。