大型モジュールを2個つなげた民間宇宙ステーションの想像図(ビゲロー・エアロスペース提供)【拡大】
地球から観光客が訪れる「宇宙ホテル」や、産業施設として利用できる初の民間宇宙ステーションを2020年に打ち上げる計画を、米宇宙企業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)とビゲロー・エアロスペースが14日までに発表した。
軽く柔らかい素材でできていて軌道上で風船のように膨らむ居住モジュールを使う。米航空宇宙局(NASA)が国際宇宙ステーションに小型モジュールを運んで安全性を試験する段階に来ており、実現は夢ではなさそうだ。
ビゲロー社が開発中の大型モジュール「B330」を、ULAのアトラス5ロケットで高度数百キロの軌道に打ち上げる。小さく折り畳んだ状態から内部に空気を入れて大きく広げる。大型トラック数台分に相当する330立方メートルの容積があり、6人が滞在できる。
外壁は約50センチの厚さ。人体に有害な放射線を遮り、宇宙ごみの衝突による空気漏れを防ぐ多重構造を持つ。宇宙ホテルを訪れる客は、別の宇宙企業のスペースXやボーイングが17年以降に運用を始める民間宇宙船に乗ることを想定している。
30年代に火星有人飛行を目指すNASAも、宇宙船や月軌道ステーションへの応用に関心を示す。NASAは先週、小型モジュールをドラゴン宇宙船で国際宇宙ステーションに打ち上げ。5月にも膨らませて2年間の試験を始め、飛行士も内部に短時間入る。ビゲロー社は国際宇宙ステーションに大型モジュールをつなげれば利用空間を30%増やせるとしており、将来のドッキング実現に向けた協議をNASAと始めた。
ビゲロー社のロバート・ビゲロー社長は、米ラスベガスのホテル開発で財をなした不動産王。モジュールを使った月面基地の実現にも意欲を見せており、いずれ宇宙にも不動産開発の波が押し寄せるかもしれない。