熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震を受けて開かれた原子力規制委の臨時会合で、報告を聞く田中俊一委員長(左端)ら=18日、東京都港区【拡大】
原子力規制委員会の田中俊一委員長は18日、記者会見し、熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震を受け、全国で唯一稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を予防的に停止させる可能性について「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況で問題があるとは判断していない」と否定した。
規制委は同日、臨時会合を開き、九州、中四国地方の4原発に異常がないことを確認。揺れの大きさを示す最大加速度は、九電玄海原発(佐賀県玄海町)の20.3ガルが最も大きく、いずれの原発も原子炉が自動停止する設定値を下回っていたが、地震が続いていることから状況を注視する。
規制委の情報発信が不十分と批判が出ていることに関し田中委員長は「率直に反省しないといけない」と陳謝した。
会合では原子力規制庁が、今回活動した布田川・日奈久断層帯に関し、川内1、2号機の新規制基準への適合性審査で、断層の長さ92.7キロ、マグニチュード8.1と想定して地震動を評価したと説明。原発への距離が約90キロと遠く、影響は限定的とした。
薩摩川内市では14日以降、最大で震度4が観測されたが、原発に伝わった揺れはそれより小さく、九電は安全上影響がないとして発電を継続。政府も「運転を停止する理由はない」(菅義偉官房長官)としている。