ともあれ、市場の形勢がどのように変化しようと、パチンコ産業自体が低消費社会という課題を突きつけられていることに変わりはない。加えて、業界内の事情としては「のめり込み対策」の名のもと、遊技機環境もマイルド化が進行していく。どう考えても従前の延長線上でビジネスが成り立たないなか、パチンコという余暇ビジネスの在り方そのものを抜本的に見直さなければならない時期にきている。
低消費社会で持続可能な成長を遂げるパチンコ業界とは、どのようなものなのか。これからの市場を担う若中年層のリアルな生態を把握し、彼らの消費意欲をくすぐる試行錯誤に“既存の価値観”を捨てて取り掛かる必要がある。
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【プロフィル】木村和史
きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のレポート執筆など手掛ける。