皮肉な運命
「姫路に液晶新工場」の報道が出た後、誘致に力を入れていた兵庫県や姫路市などの関係者らの期待は高まったが、兵庫県側の関係者はしばらくして異変を感じたという。兵庫側のある自治体幹部によると、シャープの交渉窓口が急に変わったことから、連絡が取れなくなったのだ。そしてシャープは堺を選択した。
ただ、その年の12月、再び全国紙の1面に再び「姫路に液晶パネル工場」という記事が掲載された。
今度は松下電器産業(現パナソニック)などが計画している液晶パネル工場の建設地を姫路市で最終調整しているという内容だ。シャープの工場の建設予定地と報じられた同じ場所で、今度は松下などが3千億円規模(当時)を投じて液晶パネル工場を建設するとした。
こちらは翌20年2月に正式に発表され、実際に工場は着工・稼働しているが、当時の取材で、ある兵庫県側の幹部は「シャープにざまあみろだな」とつぶやいた。