国内外の自動車メーカーは規模拡大のほか、環境技術の強化や商品ラインアップの充実を図るため提携関係を結んでおり、今後も業界再編が活発化しそうだ。経営規模が比較的小さい国内中堅メーカーの中では、フォルクスワーゲン(VW)との資本関係を解消したスズキの動向が焦点になる。
大手のトヨタ自動車や日産自動車、ホンダは単独で生き残れる経営体力があるとされる。しかし中堅メーカーが、環境や自動運転の技術などを自前で開発するのは極めて困難だ。
ダイハツ工業は8月にトヨタの完全子会社になるほか、マツダも昨年、トヨタと包括提携で基本合意した。富士重工業もトヨタの出資を受け入れている。
三菱自動車の日産傘下入りによって、上位メーカーと資本関係や技術面の包括提携の関係を持たない国内勢はスズキだけになる。スズキも長期的にはトヨタとの提携を予想する見方がある。
日産とフランスのルノー連合に三菱自を加えると、昨年の世界販売台数は計約959万台に達する。1000万台レベルで争ってきたトヨタとVW、米ゼネラル・モーターズ(GM)の3陣営に匹敵する規模になる。
スズキの世界販売は300万台程度で、インド市場でシェア首位など強みを持つが、規模では見劣りしている。「どこかと提携して技術面でサポートを得られると非常に大きい」(経済産業省幹部)との声も漏れる。
自前主義の強いホンダも燃料電池車の開発ではGMと提携している。トヨタはドイツのBMWと燃料電池車やスポーツカーの開発で提携しているほか、日産・ルノー連合もドイツのダイムラーと資本業務提携し開発や生産で協力している。