そこに、ゴーン氏が「即決」を促した。同氏との信頼関係で三菱自の生き残りを図ろうとした益子氏はグループを急いで回り、11日に了承を取り付けた。
ゴーン氏はなぜ結論を急いだのか。経営に影響しかねない軽自動車事業の生産・供給を早期に再開させたいという焦りもあるが、三菱自の株価急落もあった。
三菱自の株価は問題発覚直前の半値近くまで下がり、経営を大きく左右できる3分の1超の株式をわずか2千億円超で握ることができるようになった。しかし、業務提携の噂が市場に広がれば、経営再建への期待から瞬く間に三菱自の株価が急騰し、取得額が高くなる恐れがあった。
ゴーン氏は13日、産経新聞などとのインタビューで「燃費不正問題で物事が加速した」と語った上で、「噂が流れたり、話が歪(わい)曲(きょく)されたりする危険があったので早く市場に発表したかった」と強調した。
不正で弱った三菱自をしたたかな交渉術で傘下に収めるゴーン氏。その豪腕で窮地の三菱自を再生に導けば、世界販売850万台強で世界4位の日産・ルノーグループを年間販売台数「1千万台クラブ」に導くのも夢ではなくなる。
「私どもは世界トップ3に入る実力がある」
12日の会見でこう言い切ったゴーン氏が三菱自との提携のその先に見据えるのは、「世界ナンバーワン」の称号だ。
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12日に資本業務提携を発表した日産と三菱自。提携の狙いや背景を検証する。